二人の影が近づくともうひとりが誰だかすぐにわかりました。
小太りのシルエットはNでした。
私はとっさにアパートの入口の物陰に隠れました。
二人は手を繋いでいるわけでもありませんでしたが私の心臓はバクバクと音が聞こえそうなほどでした。
ゆっくりと近づいてきます。
私が隠れている横を通って二階にある彼女の部屋に行くのか。それともこの入口付近でお別れのキスでもするのか。
そしてその時自分はどんな行動をとればいいのか。
いや彼女が裏切ってこんなブ男と…なんてありえない。
いろいろな考えが脳みそと心の中を暴れまわり緊張感を増大させました。